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- 倉敷の匠
中学卒業後、15歳の若さでこの世界に飛び込んた安藤。手に職をつけたいと思いチャレンジしたものの、当時はその厳しさに衝撃を受けたという。「職人の世界は厳しいというイメージはありましたが、実際に体験すると想像以上。昔は技術は教えてもらうものではなく『見て学べ』というスタイルが一般的でした。聞くと怒られるので、親方をずっと観察しながら技を盗もうと必死に取り組んでいました。」と振り返る。
今では若手の職人を育てる立場。「当時、自分がとても苦労したので、後輩には言葉で丁寧に指導するようにしています。分からない事を適当に作業すると、いい仕事が出来ませんから」と優しい笑顔を見せた。
昔ながらの職人と違うのは育成方法だけではない。施主様とのコミュニケーションを大切にしているのも安藤の魅力。「機会があれば、できるだけ施主さんとお話をするようにしています。信頼関係が築ければ安心感も生まれ、要望なども出やすい。私たちも要望をあとから言われるよりもその都度聞かせてもらった方が効率的です。会話をすることはお互いにメリットがあります。」
安藤の専門は外壁塗装。「養生の美しさは仕上がりの美しさ。地味な作業を丁寧に行ってこそ本当に満足して頂ける仕上がりになる」と最後に職人の顔をのぞかせた。
学生時代に屋根工事のアルバイトを経験したことで、瓦職人を志した宇渡。がむしゃらに働いて5年が経った頃、周りに技術的なライバルがいないと感じ、22歳の若さで管理職にステップアップした経験を持つ。
管理職をしていた時、職人がステンレス製の釘を打たなければ行けない場所に鉄釘を打ってしまったことがあったんです。それが施主さんに伝わって、契約破棄になったことがありました。この時初めて、職人は釘一本もミスをしたり、妥協してはいけない。細やかな心配りも必要な仕事なんだと身にしみました。」と振り返る。
管理職を18年経験した後、再び職人として現場に復帰。管理職を経験したことで、職人では経験しない利益計算や原価計算などといった業務を通し、技術だけに執着していた若いころに比べて視野が広がり、職人としても成長できたという。
瓦職人は、瓦を専用のかなづちやタガネで微調整しながら並べていくのが主な仕事。最近では彩りやデザインにも凝った屋根が多く、技術に加え、美的感覚も要求される。「見た目の美しさを左右するのが設置する瓦の角度。組み方1つで家の印象は驚くほど変わります。最も勢いがあるように見える角度で仕上げていくのが職人技。誰よりもキレイに早くふきあげるのがモットーです。」と笑顔を見せる。その笑顔は、これまでの経験に裏打ちされた自信に満ち溢れている。